【トピックス】宮原ゴムで働きながら、通信制大学へ通う。<従業員社内インタビュー>
宮原ゴムには、通信制大学の経営学部コースを受講している社員がいる。今回、その社員、戸田さんに話を聞いた。
聞き手:コペルニクスデザイン 福島由衣
インタビュー日時:2023年2月17日
“大卒資格、とるか?”
「大学に行かないかと社長から話があって。ちょっと経営学も学んでみないか、と。僕はそのとき、高卒で。行かせてもらえるチャンスを逃したくなかったので、行きます、とお返事しました」と戸田さん。「当時はコロナが流行り、会社が少し暇になってしまっていたんですが。そんな中で、『大卒資格、とるか?』っていう提案をしてもらって。そんな機会もう滅多にないじゃないですか」
写真:戸田さん
働きながら勉強することのしんどさについて、懸念はなかったのか。「若いから、大丈夫かなって」と戸田さんは笑う。「一応、勉強の仕方としては……迷惑をかけないようにと思って、家族が寝静まってから始めていて。夜の23時とか。そこから朝までやります。それで土日をスクーリング(※)に使ったりして」
※スクーリング:通信制の学校で学んでいる生徒が、教室へ向かい対面の授業を受けること。コロナ禍により戸田さんが受けるスクーリングはオンライン方式が主だそう。
「これは社長に聞かれたらちょっと怒られる話かもしれないんですけど。僕は実は、空手が大好きな空手馬鹿で、人生で空手をすごく優先しているんです。そして大事な家庭もあって、仕事もある。でもそこで勉強をないがしろにせず、効率のいいやり方を見つけて学ぶのがすごく楽しく感じるんですよね」 戸田さんは、宮原ゴムで働きながら学校に行けるとなったとき、まずは短大で2年の勉強をしたそう。
「卒業したあと4年制に編入しました。短大を乗り越えられたので“あと2年、いけるやろ!”って思って。『編入するか?』という社長の声かけに『します!』と即答しました」
何か問題が起きても、冷静になって、スイッチを切り替えて仕事に戻れる
学業で避けて通れないものは定期考査だ。「2ヶ月ごとに試験があります。範囲はテキストまるまる1冊で。見ながら受けていいんですが、ちゃんと勉強していないと、そもそもどこを見ていいかわからない。ページ数が多いので」
ただ、そんなしんどさもある学生生活が、仕事にだっていい影響を与えてくれると戸田さんは語る。「これは僕のお気に入りのテキストなんですが(下部写真)、トップアスリートの苦難の乗り越え方について書かれていて。これを読んで理解しようとしたら、仕事中にいらいらすることがなくなったんですよ。何か問題が起きても、一度冷静になれて、スイッチを切り替えて仕事に戻れるというか。それまでは、たまに、社内に声が響き渡るくらい怒ってしまうことがあって。人に対して怒るわけではないんですが、モノに対して……扱いの難しいゴムスポンジに対して、ぷちっといってしまう。ゴムスポンジをうまいこと扱いたい、と思うからこそなんですけどね。自分が今任されているポジションが良い製品をつくることに直結している立場なので、気が抜けないところもあるし、お客様にいいものを渡したいっていうプライドが許さないところもあって」
写真:戸田さんが使っているテキスト
“あ、空手や”。
そんな戸田さんは、大学での勉強をどんなふうに宮原ゴムへ反映していきたいと思っているのか。「将来的に、会社がもっと大きくなってほしいと思っています。入社したとき僕は18歳でしたけど、24になった。もっと若い人や、色んな人に入ってきてもらって、新しいことが出来たり、規模が大きくなったりしたらいいと思っているんですよ。それで……大学の勉強を経て色々考えているうちに、悩みながら思いついたことがあって。あ、空手や、と。空手の実業団。自分でお金を出すからつくりたいと言ったら社長が許可してくれて、ユニフォームなどの援助をしてくれました。スポーツっていう接点から宮原ゴムに興味を持って、入りたい、と思ってくれる人がひとりでも増えたらなと思って」。その実業団はもう活動を開始していて、実績を残している。「西日本で3位になりました。日本代表を決めるナショナルチームの選考会があり、来週それにも、行ってきます」
このインタビューのあと、戸田さんは4回生に。宮原ゴムでの勤務、空手、そして勉強と頑張り続けている。